前回、ご紹介した
募集・採用、年齢制限原則禁止。
今回からは、
例外的に認められる場合
を具体例とともに、順にご紹介していきます。
例外規定は、
雇用対策法施行規則第1条の3第1項に定められています。
1.第3号のイ : 長期勤続によるキャリア形成を図る観点
(1)本文と趣旨。
このように規定されています。
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等(注)を期間の
定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
(例外事由となった趣旨) ① 新卒者などを一括採用し長期間雇用継続するなかで、自社内でのキャリア形成を図り、
定年やその後の継続雇用を経て退職するという日本の雇用慣行との調和を図るため。
② 新卒一括採用という雇用慣行のなかで、雇用情勢の悪化に伴い、特に就職の厳しい時期に
正社員になれなかった年長フリーターやニートの増加といった、近年の若者をめぐる
雇用問題に配慮して。
※(注)については、このように定義されています。(リーフレットから引用)
「若年者等」とは、基本的には、35歳未満の若年者を想定していますが、
必ずしも35歳未満に限られるものではありません。
ただし、定年を定めている場合、勤続可能期間が極端に短くなるような
上限年齢を設定して募集・採用することは認められません
(おおむね45歳未満を目安としてください)。
(2)この例外事由の要件
このような趣旨からこの例外事由の要件は、以下のように定められています。
① 対象者の職業経験について不問とすること。
② 新卒者以外の者について、新卒者と「同等の処遇」にすること。
③ 「期間の定めのない労働契約」の対象として募集・採用すること。
なお、②の
「同等の処遇」については、
新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成しようとしている場合を
指すもの であり、
賃金などが新卒者と完全に一致しなければならないということではありません。
と定義されています。
(3)OKとなる(=認められる)場合と文例。
① 「35歳未満の方を募集(職務経歴不問)」
② 「40歳未満の方を募集(簿記2級以上)」 ②の場合、必要な免許資格(簿記2級)を定めていますが、
「実務経験を有する資格でない」ので必要な免許資格を定める
ことも可能です。
③ 「平成○○年3月大学卒業見込みの人を募集」 この場合、
卒業年を記載して新卒者のみを募集する場合は、年齢制限には該当しないですが、
雇用対策法第7条 および第9条に基づく
「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」
を踏まえ、新卒者以外の若年者にも応募の機会を開くよう努める必要があるとのことです。
(4)NGとなる(=認められない)場合と文例。
① 期間の定めのある(=有期)労働契約である場合。 「30歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)」
(理由) 実態として、有期労働契約を更新し続ける場合であっても、
個々の契約は期間の定めのある労働契約であるため。
さらに、例外事由の趣旨「長期勤続によるキャリア形成を図る観点」
からこのような雇用をしているとも認められません。
② 職務経験を付している場合。 「40歳未満の人を募集(○○業務の経験のある方)」
(理由) 例外事由3号イの趣旨は、企業内で長期的に雇用し、人材育成を図るために
若年者等を募集・採用することにあります。
ですから、「○○業務の経験を有する人」、「○○の経験者募集」といった
職務経験の有無を条件に加えることはできません。
同様な趣旨から、”職務経験がないと取得できない免許資格”を
記載することもできません。
ただし、パソコンの基本操作など、職業に就いたことのない人でも
習得することが可能なものであれば、記載することは可能です。
③ 下限年齢を付している場合 「20歳以上35歳未満の人を募集」
(理由) 例外事由3号イに該当することを理由として年齢制限をして募集・採用を行う場合には、
下限年齢を記載することはできません。
今回はここまでで。
続きは、次回で。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考になれば幸甚です。
では、また。
※本コラムは、ハローワーク梅田で入手したリーフレットを
基に、記事として掲載しております。
