「コロナ禍での就職活動」
2021年7月13日 公益財団法人 全国求人情報協会は
全国の大学4年生・大学院2年生を対象とする
アンケート調査を実施、調査結果を公表しました。
今回のコラムは、調査報告書から
気になるトピックをピックアップ、
求人票の書き方も検証します。
※以下の資料は、公財)全国求人情報協会ホームページで
公開されている資料より引用します。
2020年の就活 就職の納得度/知りたかった情報・知ることができた情報
今回ご紹介するデータは
「2021年卒学生の就職活動の実態に関する調査」
調査対象は、民間企業・団体への就職活動を
在学中に経験した全国の大学4年生・大学院2年生
以下の結果が報告されています
■ 2020年 就職予定先への納得度
「就職確定者の就職予定先への納得度」とは、
見方を変えると
「就活の納得度・会社選びの満足度」
以下の結果が報告されています。
※図表出典:2021年卒学生の就職活動の実態に関する調査
図表右の「納得している・計」をみると
2020年との比較では下降傾向はうかがえるものの
大学生では、89.2% 大学院生では、93.0%
文理別では、
国公立・理系の納得度は上昇:97.3%⇒98.4%
するも
私立・理系の納得度は下落:90.6%⇒86.2%
地域別では
中部で納得度は上昇:92.5%⇒93.8%
などの特徴がうかがえます。
※「納得している・計」:「納得している」+「まあ納得している」
■ 就活中に知りたかった情報、知ることができた情報
本報告書では、大学生・大学院生が就活中に
「知りたかった情報」・「知ることができた情報」
についての以下の結果が報告されています。
大学生が就活中に「知りたかった情報」
「具体的な仕事内容」:65.3%(75.6%)
「勤務地」:62.6%(70.6%)
「事業の安定性・将来性」:54.9%(53.8%)
「経営理念・ビジョン」:54.8%(50.6%)
が上位に
ちなみに
「求める人物像・採用選考の基準」は、40.9%(44.4%)
「人事評価制度」は、25.2%(26.9%)
「教育研修制度」は、35.1%(38.1%)
「新卒者の定着状況」は、31.8%(31.3%)
に ※上記( )は大学院生
情報収集のプライオリティなどの
実態がうかがえる結果となっています。
※図表出典:2021年卒学生の就職活動の実態に関する調査
また、本調査報告書では
就活中に「知りたかった情報」と
就活して「知ることができた情報」の
ギャップについても「差分」で表示
大学生では
「将来の給与の見通し」:差分ポイント23.3(23.1)
「職場の人間関係・雰囲気」:差分ポイント20.4(20.0)
「事業の安定性・将来性」:差分ポイント18.9(11.9)
「若手社員の仕事の様子」:差分ポイント17.1(17.5)
が上位に
「組織風土」:差分ポイント15.0(13.1)
「有給休暇日数と取得状況」:差分ポイント15.0(14.4)
などがこれに続いています。
※差分ポイント( )内は大学院生
詳細は、下記URLからご確認ください
【出典・引用】
公益社団法人 全国求人情報協会 ニュースリリース 2021.07.13
2021年卒学生の就職活動の実態に関する調査
▽
https://www.zenkyukyo.or.jp/2021_shinsotsu_release/
欲しい人材に響く! 求人票の書き方( 就活生の興味・関心と求人コンテンツ )
弊所は、2012年の開業以来
「ハローワークの求人票の書き方」を
メインに、コンサルティングサービスなどを
みなさまにご提供しておりますが
"求人票コピーライター"という商売柄、
「就活生向け採用コンテンツ」などの
オーダーを頂くこともあります。
今回のコラムでご紹介した
「就活中に知りたかった情報、知ることができた情報」
「知りたかった情報」とは、見方を変えると、
エントリーの初期段階で就活生の興味・関心が高い求人情報
「知りたかった情報」と「知ることができた情報」の差分の大きさは、
「企業が提供する内容に不足感がある求人情報」とも言えます
たとえば、
差分の上位に挙がっていた
「若手社員の仕事の様子」
各企業の新卒採用ページでは
「1日の仕事の流れ」などのコンテンツで
若手社員の仕事の様子を紹介しているかと存じます。
各社のコンテンツを拝見するに、
写真や動画もふんだんに使った
凝った作りのデザインもみかけますが
"差分が大きい"ということは、
「就活生のニーズに応えきれていない内容」
となってしまっている可能性が考えられます。
同じように差分が大きい
「職場の人間関係・雰囲気」や
「事業の安定性・将来性」などは
「将来の給与の見通し」とは違って
数値だけでは伝えきれないニュアンスがあります。
このあたり、今現在のコンテンツが
就活生に上手く伝わっているかの
検証が必要やもしれません。
企業の採用ページと就活生の関係性
昨年・今年と就活生を取り巻く状況をみると
・各企業で「オンライン面接へのシフト」
・各大学で「カリキュラムのオンライン化」
・外出自粛要請などで「おうち時間の増えた」
などが傾向・特徴として挙げられます。
そんな状況を鑑みると、就職活動のスタイルも
「自宅でPCを使った情報収集」にトレンドが
シフトしている可能性は十分に考えることができます。
企業の「オンライン面接へのシフト」は、
見方を変えると「リアルに会う機会が減る」こと
そして
「おうち時間が増えた」や
「カリキュラムのオンライン化」は、
「自宅でPCを使う時間」が増えること
そのような状況の変化は、
・自分が興味・関心を持った企業は
・おうち時間にじっくり腰を据えて
・企業が提供する採用コンテンツを閲覧する
そんな就活スタイルへの変化の可能性も示唆しています。
各社様コンテンツを拝見する機会に
実感するのは新卒採用ページには
・応募問い合わせ・エントリーの窓口
・企業研究・面接対策のための情報源
の2つの機能・役割があるということ
その機能・役割に照らしてみるに
エントリー段階の就活生が欲しい情報は、
・どこにエントリーフォームがあるか
・どんな情報を入力すればいいのか
・どんな日程・流れで選考が進むのか
・本選考でどんな書類を準備すればよいのか
などもあるはずです。
とすれば、採用ページを閲覧している読者に
・エントリーページにすぐリーチできない
・問い合わせ先・方法がすぐにわからない
・書類の郵送先・担当部署がすぐわからない
などのストレスを与えてしまうことは"機会損失"
同じように、
採用ページの注目度を上げようと
見栄えにお金をかけて作り込んでも
・トップページに行く前に、自動的に音声つき動画が立ち上がったり
・スタイリッシュでも、どこに何が書いてあるかがわかりにくかったり
・かっこいいデザインでも、見たいページにスムーズに行けなかったり
就活生が企業研究のためにアクセスしようにも、
そんな操作上のストレスを与えてしまうことで
採用ページ自体までもが悪い印象となってしまうこともまた、
採用ページが果たすべき本来の目的でみれば"機会損失"です。
採用ページは、あくまでも「読者のため」のもの。
就活生の目線に立った気配りや使い勝手の改善もまた、
採用ページテコ入れの大切な要素と言えます。
2012年(平成24年)以来、
本連載コラムや商工会議所などでの
「求人票の書き方セミナー」で
繰り返しお伝えしている
「求人とは、集客。求人票も、広告。」
という視点・考え方と
「だれに・なにを・どう伝えるか」の
書き方のコンセプトは、採用ページでも同じこと。
差分が大きかったコンテンツは
その内容を検証してみる必要がありますし
採用ページではそれに加え、
訪問してくれた読者が"右往左往しない"
そんな気配りも大切です。
求人票も書き方次第、
求人情報も伝え方次第
書き方・見せ方だけでなく
求職者目線に立った気配りでも
その印象はガラリと変わります。
求人票も採用ページも
時流に合わせたアップデートが必要です。
一度機会があれば、ご確認頂ければと存じます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
みなさまのご参考となれば幸いです。
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[内閣府報告書より] 就活生が「就職先を決める際に重視していること」【求人票の書き方 #41-2020】
【参考文献】
株式会社ディスコ ニュースリリース 2021.07.12
2022年卒「 採用ホームページ好感度ランキング」発表
〜採用ホームページに関する調査
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https://www.disc.co.jp/press_release/8560/
株式会社リクルートキャリア 2021.02.16プレスリリース
就職白書2021(就職みらい研究所)
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https://shushokumirai.recruit.co.jp/white_paper_article/20210216001/
アイデム人と仕事研究所 2021.07.21
新規高卒者の採用・就職活動に関する調査
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https://apj.aidem.co.jp/enquete/327/